土鍋について

土鍋について〜土鍋の魅力と凄さ〜

はじめに 日本の陶器の歴史

日本では「やきもの」の始まりは、縄文土器といわれています。
日本のやきものは世界で最も長い歴史があり、最も古いものは青森県大平山元で発見された土器で1万6千5百年前のものと言われており、世界各地の土器と比べると桁違いに古いものです。
ただ、その後の日本におけるやきものの歴史は、中国や朝鮮の影響をうけて育ってきたといえます。紀元4~5世紀半ば(飛鳥時代)には朝鮮からろくろ技術と、窯が伝わりました。ろくろによってさまざまな形のものがつくられるようになり、窯が伝わったことで、1000度以上の高温焼成が可能になり、須恵器に見られるように、水漏れしない、壊れにくい陶器の焼き物が焼けるようになったのです。

土鍋の歴史

土鍋が登場したのは食事の変化によるものでした。6000~7000年前の縄文時代は肉食で狩りをし、生肉を食べる「狩猟民族」でした。しかし人々は移動するために、食糧を運んだり保存する必要が出てきました。このとき、肉を焼くことをおぼえ、野菜と一緒に食べるようになりました。
その後、農耕民族といって米を耕すようになりました。当時米を食べることができたのは上流の裕福な人たちで、一般の人たちは雑穀を食べてきました。このとき、雑穀を雑炊のように煮ることをおぼえました。竪穴式住居には囲炉があり、皆で囲んで食べる習慣がありました。炉を囲んで体を温めたり、部屋を灯したり、家族と会話をしていたようです。土鍋の魅力は陶器でありながら火にかけて調理をすることができ、保温性も高いということと、美しく暖かみのある素材感で肌ざわりがいいなどといった特徴があります。調理道具として優れた機能を兼ね備え、そのまま食卓に運び、「器」としても楽しむことができます。

土(粘土)の力 

・伊賀や信楽の土は なぜ土鍋に適した土であるのか?

日本一大きな湖 琵琶湖(古代湖)に関係しています。琵琶湖が形成されたのは、今から約400万年から500万年前ぐらいだと推察されています。現在の三重県伊賀市付近で起こった地殻変動により、地上に大きな穴が出来あがり、そこに水が流れ込む形で湖ができました。これが琵琶湖の起源となった湖です。その後、度重なる地形変動や風水の影響を受け、この湖は長い期間をかけながら徐々に北へと移動していきました。そして今から約100万年から40万年前頃に、比良山系まで到達。比良山系がそれ以上の湖の北上を止める形となり、現在の琵琶湖の位置が完成しました。この長い年月の間に、伊賀付近で葉や微生物などが堆肥し良質な粘土や土鍋に適した耐火、耐熱性の高い土ができたと考えられています。伊賀ではこの特性を生かして土鍋が多く造られるようになりました。

※琵琶湖はカスピ海やバイカル湖などと同じで古代湖の一つである。地殻変動によって、形を変え今に至る。

・いい土鍋、割れにくい土鍋には「土」が重要!

現代はペタライトの使用が大切。

土鍋は、加熱調理用容器として長い歴史があるが、1950年代にリチウム鉱物のペタライトを用いたリチア系、耐熱陶器製の土鍋が開発され、家庭用業務用として広く普及しました。非常に低熱膨張性であり、高い耐熱衝撃性を有しており、ペタライトの使用割合で耐熱度、熱膨張率が変わってきます。また、焼成温度は1150度〜1200度あたりが適温です。ペタライトを多く使用すれば耐火度が上がりますが、整形が難しく釉薬の調合も難易度が増します。

土鍋の特徴

鍋にはいろいろな種類があります。日本の鍋だけでも土鍋、鉄鍋、銅鍋、石鍋などたくさんあります。電気調理器というのも登場し、調理器具も時代とともに変化しつつあります。
土鍋の特徴は、成型した粘土を焼いて釉薬(ゆうやく)を塗ったもの。土鍋は金属の鍋と異なり、まず土鍋が加熱されてから、鍋全体から熱が伝わって中味を調理します。また、保温性が高いため余熱でたいていのものに火がとおり、温度が少しずつ下がっていく過程で味も染み込むので、余熱を利用するのがおすすめで、長時間の煮込み料理などにも向いています。遠赤外線効果があるために食材の芯から温めることができます。温まりにくいけれど冷めにくいという特徴があります。

土鍋の長所

・保温性が高く、その場で温めることができるので、できたての温かい料理が食べられる

・味が染み込んで冷めてもおいしい、遠赤外線効果によって内部から食材を温める。

・貫入にダシが染み込んで土鍋を使えば使うほどダシが出やすくなる

(使用頻度が多くなるにつれ、熱も伝わりやすくなる)

・温かみのあるデザインでテーブルに置いても違和感なく、家族で食卓を囲むことができる

土鍋の短所

・重い

・割れる

 土鍋での調理

調理器具として土鍋は魅力は様々あります。土鍋の遠赤外線効果によって芯からの加温は食材のうまみを最大限に引き出すことができます。六鍋の土鍋は最初から強火で加熱しても鍋が破れたるする事はなく、焦げ付いたりせずに徐々に材料に熱を伝えます。テーブルで囲む「鍋料理」は人と人とを繋げ関係を築き上げてくれるのが鍋料理です。

・日本の鍋料理

日本には様々な鍋料理があります。スッポン鍋・水炊き・ちゃんこ鍋・鴨鍋・すき焼き・しゃぶしゃぶ・てっちり鍋など…土鍋を使用して調理されている料理屋さんは少なくありません。
調理法と相性が良いことや、出汁のとれかたなどが違ったりして、食材にもやさしいからです。

・世界の鍋料理

日本だけではなく、「土鍋」は世界中で愛されています。
中国、香港、台湾のサーコー鍋(砂鍋) フォクオ鍋(火鍋)・韓国のチゲ鍋・タイのトムヤンクン鍋・などアジア地域はもちろん、モロッコのタジン鍋などがあります。

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